2013年9月8日日曜日

古典から学ぶ、成功への道~「平家物語」

祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり、
沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。
驕れる者久しからず、ただ春の夜の夢の如し。
猛き人もつひには滅びぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。

「祇園精舎の~」、で始まる平家物語の前説。有名なので、ご存知の方も多いと思います。
平家物語とは、古く日本で一時代をつくった、平家の栄華と没落を物語った、鎌倉時代に生まれたと言われる「軍記物語」です。

前説に続いては、言い伝えの「伝」。
古くから奢れるものは滅びるという具体例が書かれています。
その後には、「本文」
源平合戦などを含む詳細な、平家の栄華と没落までの軍記が記されています。
源義経や那須与一など、歴史上、有名な人物も数多く登場しています。
歴史物がお好きな方は、古典という概念から外れて、お読みになると面白いかも知れません。

さて、今回のお話はあくまでも、「古典から学ぶ、成功への道」
以上のテーマにお話をさせて頂きますので、軍記物語として重要な、本文の説明は致しません。
その理由は、最後まで読んで頂ければご理解いただけると存じます^^

さて、それでは前説の説明。

「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」
祇園精舎とは、古代インドのとある富豪が、釈迦(仏陀)のために建立した寺院であり、その寺の鐘の音はすべてのものが移り行き滅んでいくという諸行無常の響きを持っている、という意味です。
※ 諸行無常とは、仏教用語で、この世の万物は、絶えず変化をしており、一瞬たりとて同一性を保つ瞬間は無い、要するに鐘の音も、同じ様に聞こえて一打ちずつ、全く違う瞬間である、という意味です。

「沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす」
娑羅双樹とは、釈迦が入滅前に植えた木で、その後の成長・変化を続け、花の色も一つとして同一のものは無い。そしてどんなに美しい花びらであっても、必ず枯れ果てる運命にある。
それらが物語るように、この世に繁栄する全てのものは、いずれ無情にも滅んでいく。

「驕れる者久しからず、ただ春の夜の夢の如し」
今の時代を驕っている者もその隆盛の時期は長くない、ただ春の夜の束の間の夢のようなものだ。

「猛き人もつひには滅びぬ、ひとへに風の前の塵に同じ」
強力で限界がない様に見える人間も、最後には滅びてしまうのだ。
それはただ、風の前で吹き飛ばされていく塵のようなものに過ぎない。

以上が、前説のご説明です。元々は琵琶法師による口述で伝えられた物語を後に文書にまとめた訳ですから、私の釈が必ずしも正しいとは言えないかもしれませんが、大まかに意味をお伝え出来ればと思っています^^

さて、この後は「伝」に移ります(原文の記述はせず、簡単な説明のみです)。
遠い外国(中国)の事例を見ても、秦の国も、漢の国も、梁も唐も、旧主の命令にも従わなかったため、短期間で国は滅んだ。
近き(日本)の例を見ても、平将門、藤原純友、康和の義親、平治の信頼など、そのはたらきはそれぞれあったが、結局は滅んでいった。
最も近い例では、六波羅の入道と呼ばれて前の太政大臣にもなった平清盛という人物…

そして、その後が本文。
実際の平家の栄華と没落までの物語を、時間軸で語る、というお話です。

さて、冒頭に書いた通り、平家物語とは軍記物語です。
「奢る平家は久しからず」という故事にもあるお話ですが、私が今回、何が言いたいのかというと、これを軍記物語として取るか、「古典から学ぶ教訓」として取るか、何を求めてこの古典を学ぶかはそれぞれでしょう。
ですが、経営者、指導者といわれる立場の方には、是非、「教訓」として受け取って欲しいと心から願います。

繰り返しますが、
「諸行無常とは、この世の万物は、絶えず変化をしており、一瞬たりとも同一性を保つ瞬間はない」
例えば、今、一瞬だけ最新と思える物事があるかもしれませんが、次の瞬間から、既に最新では無くなるのです。
私が主に活動する婚礼業界に例えて私が良くお話するのは、式場の建物は、オープン初日から老朽化が始まります。最新と思っているホスピタリティ・サービスも、競合が対策を練って真似、更に新しい取り組みをした時点で既に古くなる。少なくとも最新では無くなる。

要するに、変化にいかに対応出来るか、というお話です。

確かにこの世は、盛者必衰。ですが、その後に、「驕れる者久しからず」、とあります。
当たり前ですが、現状に満足し、奢り高ぶっていれば、新しいものを生み出すという発想すら失います。
企業とは、複合生命体。創始者がたとえ死んでも、その命を受け、引き継がれれば、一代で終わるなんて限りは有りません。

ところで平家物語が書かれたのは鎌倉時代。それから時を経て、江戸時代は、1603年の徳川家康の征夷大将軍就任から明治改元の、1868年まで、264年も続きました。
その後の、明治維新以降、日本という概念での国は、平成の今もなお続いているのです。
明治以降の近代日本において、元号は、大正・昭和・平成と変わりましたが、一時的な占領地としての時代を除いて、日本という国は、日本人による国造りが今もなお続いています。

時代とは常に変化します。勿論、驕り高ぶり「我が世」と謳う時代はとても短い。
しかし、その変化に対応出来れば、本当の意味で、進化を遂げ、成功への道へと近づくのではないでしょうか。

「古典から学ぶ、成功への道」
お伝えしたかったことが、もしも「成る程」と少しでも心に響いて下されば幸いです^^

最後に。
日本において、創業1000年を超える企業は、なんと6社もあります。
また、創業200年を超える企業は全世界41カ国で5586社。うち、3146社が、実は日本企業なのです。
日本は、他に例を見ない、企業長寿国。
古き不変(創始者の理念)を守るだけではなく、変化(時代に対応する)を遂げる。
それが、企業生命体を存続する秘訣なのは間違い無いでしょう。

それぞれが、それぞれの業種で、それぞれの文化とともに企業を守る。
そうすれば、日本は必ず復興します。
私は心から、そう信じております^^


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